ECOHEALTH
エコヘルスとは?
エコヘルスとは人間の健康はその人間が生きていくための生態学的条件が保全されることによってはじめて成立するという健康に対する生態学的・環境学的な見方であり,生態系の変化が健康に与える影響を超領域的に研究し,参加と公正を重視する点で個別の環境科学・健康科学とは異なる新しい研究領域と考えられています.
朝倉先生らが考えるエコヘルスとは,社会・文化システム,自然の生態系,社会開発,人間の生活活動,人間の健康は相互にダイナミックで依存し合う関係にあるとの認識に立ち,持続可能な人間の健康を考えるには,それらの関係の調和やバランスを重視する,還元主義を超えた全体論的な健康観であり,古くて新しい研究領域です.エコヘルスは,その特徴的な世界観,システム的思考法によりローカルからグローバルに至るコミュニティの課題を学習し,解決に向けて実践する子どもや大人,専門家を育成する教育領域でもあります.
研究成果・調査報告・関連論文
・「The ecosystem approach to health is a promising strategy in international development:lessons from Japan and Laos」Takashi Asakura, Hein Mallee, Sachi Tomokawa, Kazuhiko Moji, Jun Kobayashi(Global Health,2015,11)
・「別冊医学のあゆみ:エコヘルス21世紀における新たな健康概念」門司和彦・安本晋也・渡辺知保 編、第3部エコヘルス教育における個人への介入策、11教育学からみたエコヘルス、朝倉隆司・友川 幸
JICA海外協力隊大学連携派遣
東京学芸大学養護教育講座はJICAと提携を結び,エコヘルス教育普及活動を行う協力隊員(職種:公衆衛生)を派遣してきました.これまで6名の修士学生がラオス各地に派遣され,2020年3月時点で3名が任期を終え帰国しています.活動の成果物や帰国報告会の資料はこちらからご覧になれます.
エコヘルステキスト in Laos
エコヘルス教育のテキストと,エコヘルス教育を担当する教員のための指導書が完成しました.テキスト初版は2018年6月に完成し,同年9月にテキスト完成セレモニーを開催しました.その後,テキストは改訂作業が行われ2020年1月に第2版が完成,同時に指導書も完成しました.同年3月には各教員養成校でテキスト・指導書の贈呈式を開催しました.現地の教員の声が反映されたテキストと指導書によって,さらにエコヘルスが普及することが期待されます.